こんにちは!
岡山県美観地区の「美観堂」というお店で働いている、長谷川と申します。
美観堂は、岡山県倉敷市の観光地・美観地区にあるライフスタイルショップ。
「岡山・倉敷のほんとうにいいもの」をコンセプトに、私たちスタッフが実際に生産者様にお会いし、「本当に良いなあ!」と思ったものを取り扱っています。
今回は、美観堂でも大人気な「備前焼」の魅力について、初心者でも分かりやすくお伝えしようと思います。
最後までご覧いただけますと幸いです。
土から知る!備前焼ってどんなもの?
備前焼とは、岡山県備前市伊部(いんべ)地区を産地とする焼き物(陶器)のことを言います。
ん?
まず備前市ってどこじゃ…とモヤモヤしていませんか?
下の地図をご覧ください。
備前市は、岡山県の南に位置しています。
豊かな自然環境、温暖な気候、山海の豊富な幸など、実は素晴らしい資源に恵まれた場所なのです。
本題に戻ります。
先程も言いましたが、備前焼とは、岡山県備前市伊部地区を産地とする焼き物(陶器)のことを言います。
備前焼の土台となるのは、備前市で採取した良質な土。
多くは「田土(ヒヨセ)」と呼ばれる、田んぼ下2~4mの場所から採取できる土を使って作られています。
このヒヨセ、きめ細かな粘土質で、鉄分や有機物を多く含んでおり、可塑性(形を作る性質)も兼ね備えているという、土界のスーパーエリート!!!
みなさんのお家の近くにある土で形を作っても、すぐパラパラになってしまいますよね…?
でも、ヒヨセは、ヒヨセだけで成形しても、しっかりと形になってくれるんです。
あぁ、なんということ…。
そんな土界のスーパーエリート、ヒヨセを使った備前焼。
ヒヨセを練って成形し、1200℃~1300℃の窯で2週間ほど焼き続けて完成します。
時間をかけてしっかり焼き締めているので、投げても割れないと言われるほど丈夫な焼き物なんですよ。
少しずつ、魅力が伝わってきましたか?
備前焼の歴史を辿ろう!
次に、備前焼の歴史について辿っていきましょう。
備前焼の歴史は、今から遡ること約1,000年前から始まります。
当時は、「須恵器」と呼ばれる土器の生産が盛んな時代でした。
「須恵器」は朝鮮から伝わった製作技術を駆使して作られた土器で、お皿や貯蔵具として使われていました。
中でも特に「須恵器」の製作が盛んだったのは、良質な土がたくさんあった岡山県瀬戸内市辺りだったそう。
でも、瀬戸内市で須恵器を作っていた人には、少し悩みがあったらしいのです。
その内容は、「ここには良質な土はたくさんあるのに、須恵器を焼くための良い燃料がない。良質な土もあって、良い燃料もある場所は他にないのか…」
そこで人々はどちらも手に入る場所を探し求め、歩いたそうです。
そしてやっと見つけた場所!それがなんと備前市だったのです。
以降、良質な土も燃料も手に入る備前市周辺で、「備前焼」と呼ばれる陶器が作られるようになりました。
ちなみに備前焼の歴史は、「1,000年前~」という言い方と「800年前~」という言い方の2パターンがありますが、このうち「1,000年前~」は須恵器の頃を含めた言い方、「800年前~」は備前に移って以降の言い方だそうです。
なんだか面白くなってきませんか?
備前焼の魅力を知ろう!
皆さん、「焼き物」と言われてどんなものを想像しますか?
ツヤツヤしているものだったり、素敵な絵が描かれていたり、色は白くて綺麗で…。
いいえ。備前焼は違うんです。
備前焼は、「ザ・土」の焼き物であり、ここが最大の魅力なのです。
ここからは備前焼きの魅力についてお伝えしていこうと思います。
「ザ・土」の焼き物ってどんな焼き物?
焼き物の多くは、「釉薬(ゆうやく)」と呼ばれるガラス質になる薬品をかけて完成させます。
なぜなら土だけ焼いてもスポンジのようにスカスカで中身が染みてきてしまい、器としての機能を果たせないからです。
そのため土の上から釉薬をかけて、コーティングする必要があるのです。
では備前焼はどうなのか?
なんと備前焼のほとんどは、ベースとなる土(ヒヨセ)を焼いただけで完成します。
1200℃~1300℃にもなる窯の中でヒヨセを2週間ほど焼き続けることで、キュッと焼き締まった丈夫な陶器が出来上がります。
土と土の間に隙間もできないくらいキュッと焼き締まるので、釉薬をかけなくても器としての役割を果たしてくれるのです。
これも土界のスーパーエリート、ヒヨセだからこそ叶えられることなのです。
すごくないですか…?
触り心地や口当たりも、土ならではのザラザラした感じを存分に楽しむことができる備前焼。
まだまだ他にもお伝えしたいことがあるんです。
これだけは知っておきたい!備前焼きの性能!
ここまで記事を読み進めて下さり、ありがとうございます!
備前焼の歴史や魅力をお伝えしてきましたが、あともう少しだけお付き合いください!
ここからは、私が「これだけは皆さんに知ってほしい!」と思っている備前焼の性能についてご紹介します!
①投げても割れない
先程から何回かお伝えしていますが、備前焼きは約2週間もの時間をかけて高温で焼き締めている、非常に強度が高い陶器なのです。
でも強いって言っても、どうせ落としたら割れちゃうんでしょ…と思った方!
いえいえ。
「投げても割れない」と言われるほど、強い焼き物なのです。
食洗器や電子レンジにもお使いいただけるほど耐久性に優れている陶器で、日常使いにもバッチリです。
②お水やコーヒー、ビールを美味しくしてくれる!
備前焼の土台となるヒヨセには、多くの有機物が含まれています。
この有機物が火に反応すると、備前焼の表面に目には見えない微細な凸凹が作られます。
この凸凹、「通気性・まろやかさ・摩擦」を作り出す、ものすごい優れものなんです。
水を注げば、凸凹が通気性を良くしてくれるおかげで、新鮮なおいしい水が飲めたり。
コーヒーを注げば、凸凹が苦味を取り除き、コーヒーだけでは実現できないまろやかさ、甘さを作り出してくれたり。
ビールを注げば、凸凹との摩擦により、クリーミーな泡立ちのとっても美味しい一杯になったり!!
備前焼パワーが、日々の一杯をより満足感のある一杯にしてくれますよ。
③保温性が抜群!
多くの性能を持つ備前焼。
なんと保温性まで抜群です!
よく言われてる言い方を引用すると、「備前焼の内部には目には見えない小さな空気がたくさん含まれていて、この空気が断熱材(保温材)の働きをしてくれるため、保温性が抜群」ということなのです。
なんだか難しくて、よく分からないですよね。
例えば羽毛布団。
カバーの中にふわふわの羽毛が入っているだけなのに、とっても暖かいですよね。
これは羽毛布団内部の閉じ込められた空気が、熱をキープすることを得意としているからなのです。
ダウンジャケットが暖かいのも同じ理由です。
そして、備前焼きが保温性に優れているの同じ理由なのです。
温かいコーヒーも、キンキンに冷えたビールも、備前焼カップに注げばずっと美味しい!!
くぅ…、たまらんっ!!!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!
備前焼の魅力、伝わりましたか?
新型コロナウィルスによりお出かけしづらい状況にありますが、感染予防対策を実施の上、備前焼きを楽しみに是非岡山に遊びに来てください。
また、『美観堂』では、『出製陶』さんが作り出す、従来の備前焼には無い色土を使用しとっても鮮やかな備前焼のマグカップやビアカップなどをご用意しています。
中でも特に人気な商品がこちら!
「群青」というお色味のマグカップです!
デニムの町、倉敷ならではのデニムブルーを連想させる鮮やかな青色で、グラデーションがとても綺麗なのです。
男女問わず使いやすいお色味で、とっても人気があるんですよ!
倉敷に遊びに来られた際には、是非『美観堂』にも遊びに来てくださいね。
スタッフ一同、お待ちしています!
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ビール好きさんにオススメ!クリーミーな泡が楽しめる備前焼のビアカップ。
日本酒を備前焼の盃で飲むのも、通なものです。