こんにちは。
『美観堂』の犬養です。
美観地区の素敵なお店をご紹介するコーナー。
これまでのご紹介記事は美観堂のスタッフが書いていたんですが、今日は「はい、僕が書く!」と手を挙げて書くことにしました。
なぜかというと、美観地区の中で僕が日常的に最もおしゃべりすることが多い店主さんのいるお店だからです。
そのお店は、『YAMAU coffee stand(ヤマウコーヒースタンド)』さん。
明治45年にできた『蒲鉾屋ヤマウ商店』がはじまり
このコーヒースタンド、ほんの5年前までは蒲鉾屋さんでした。
もともと倉敷の美観地区は、周辺一帯で収穫された綿花が運河で運ばれてきたことにより、商人のお屋敷や蔵ができていった町。
その中でできた魚市場に集まる、魚屋や仕出し料理屋に蒲鉾を提供するためにできたのが、この『蒲鉾屋ヤマウ商店』の始まり。
創業した初代・岡本右佐太さんの「右佐太」の「右」の前に山をつけた「山右」。
それをカタカナでヤマウと読むようにしたそうです。
100年続いた蒲鉾屋からコーヒースタンドへ
100年以上続いた、『蒲鉾屋ヤマウ商店』。
それが3代目と4代目の決断でお店を閉めることになったのが、2015年5月のこと。
それでコーヒースタンドをやろうと始めたのが、今の店主の岡本聞太(ぶんた)さんでした。
思い入れの深いお店を残すためにも、屋号をローマ字の「YAMAU」として、2016年9月に『YAMAU coffee stand』をスタート。
それから4年。
今では美観地区の景色に欠かせないコーヒースタンドになっています。
岡山の人気コーヒー店の豆をエスプレッソのみで
ヤマウさんは、エスプレッソに特化したコーヒースタンド。
ハンドドリップもサイフォンもやっておらず、エスプレッソマシンでの抽出のみです。
その日の気温や湿度などの違いによって同じ豆、同じ量でも時間帯によって味が変わるエスプレッソという飲み物。
日々のわずかな違いを、聞太さんが調整しながらブレがないように抽出しています。
コーヒー豆は、岡山の人気店『キノシタショウテン』さんにオリジナルでブレンドしてもらったものを使用。
数ヶ月に一度はブレンド内容を変えて、季節に合わせたブレンドを使っています。
カフェではない。再び町に出ていく場所としてのコーヒースタンド
ヤマウさんができるまで、美観地区にテイクアウト専門の珈琲店はありませんでした。
それがヤマウさんができたことによって、美観地区の幅は確実に広がりました。
何が変わったのか。
それは「その地域のものを楽しみながら美観地区をぶらぶらできることが増えた」ということです。
そこには、あえてお店をカフェではなく長居しにくい作りにしている岡本聞太さんの「美観地区を目一杯見て回ってほしい」という考え方があります。
ヤマウさんのインスタにも、その考え方がストレートに表れているんですよね。
見てみてください。
「美観地区の風景と、そこにあるコーヒー」なんですよね。
この写真たちが、ヤマウさんの考えをなにより雄弁に語っていると感じます。
美観地区の最大の魅力である町並みに送り出す
私たちの会社の拠点でもある、美観地区。
その最大の魅力って、やはり江戸時代からの建物がそのまま並ぶその町並みだと思うんです。
とすると、そこを訪れたお客さんに最も味わってほしいものも、この町並みを楽しんでもらうことなんですよね。
ヤマウさんは明確なスタンスをもって、お店に入ってくれた人に最高な地元のコーヒーを渡し、再び町に送り出してくれています。
そういうお店があるだけで、その町の楽しみ方の幅はぐっと広がるよなあと僕も思っています。
なにより自分自身がそういう楽しみ方をすることが増えました。
コーヒースタンドに文化と無駄話は必要
ところで僕はヤマウさんに行って、店長の聞太さんと音楽の話をしてる時間が大好きなんですよね。
してもしなくても人生は続くけれどもしたら確実に楽しい話、ってありますよね。
僕にとってヤマウさんはそんな音楽話ができる場所です。
特に去年、フジロックの直前にヤマウさんに行った日、聞太さんが『The Lumineers(ザ・ルミニアーズ)』大好きと知ってからは、ルミニアーズ話をすることも多いです。
その日は店内に入ったら、いつもカウンターでいい感じの音楽を流すスピーカーから、ルミニアーズで僕が一番好きな『Submarines』が流れていたんですよね。
「あ、ルミニアーズ好きなんですか!」って話をしてから聞太さんと一段と仲良くなれた気がして、ヤマウさんもいっそう距離が近いコーヒースタンドになりました。
皆さんも美観地区に来てヤマウさんに寄る前に、よかったらルミニアーズを聴いてから行ってみてください。
ルミニアーズが好きというところにも、聞太さんの人柄が確実に表れていると思いますよ。
『YAMAU coffee stand(ヤマウコーヒースタンド)』アクセス方法
JR倉敷駅より徒歩約14分。
アイビースクエア近く、「蒲鉾」の看板が目印です。
〒710-0054 岡山県倉敷市本町5-4
営業時間:9:00〜18:00(冬季12月〜2月は17:00閉店)
定休日 :不定休
※コロナウイルスの影響で営業時間を変更されている場合があります。
足を運ばれる際は、事前にご確認くださいませ。