こんにちは。
『美観堂』の塩崎(ゆうぼー)です。
美観地区の素敵なお店をご紹介するコーナー。
今日は、『美観堂』で扱わせていただいている『出製陶(いずるせいとう)』さんをご紹介します。
カラフルで新しい作風に、ファンも多い作家さんですよ!
『出製陶』さんの作品を紹介する前に、そもそもの『備前焼』についてお伝えしますね。
『日本六古窯』のひとつ、備前焼
『日本六古窯(にほんろっこよう)』という言葉、ご存知でしょうか?
「日本の6つの古い窯」
日本六古窯の公式ホームページから、その定義を引用します。
日本六古窯は、古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く
代表的な6つの窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称です。
『日本六古窯』は、平成29年には「地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語るストーリー」として文化庁が認定する『日本遺産』にも認定されています。
備前焼はこの『日本六古窯』の中でも最も古く、その歴史は平安時代までさかのぼると言われています。
その特徴は、「釉薬(ゆうやく)」という表面をつるつるにする薬を一切使用せず、絵付けもしない!という究極のシンプルさ。
「窯のどの位置に、何と一緒に置くか」などによって焼き色や模様が変わります。
ひとつとして同じ色、同じ模様にはならない、味わい深さが備前焼の大きな魅力のひとつです。
土、焼き方、作家の癖、全てがそろって唯一無二の作品が出来上がるんです。
「世界に一つだけ」というたぐいの言葉に弱い私ですが、備前焼は唯一無二なだけでなく、とっても実用的なんです。
「ほんとに?!」と疑ってしまうような、実際に試してみたくなるようなすごい性能をご紹介します。
備前焼の七不思議
なかには科学的に証明されていないものもありますが、備前焼の優れた実用性のうち代表的なものを7つ、ご紹介します!
1. 投げても割れない
備前焼を焼く温度は1200度以上。(通常の陶器は800度〜1000度くらい)
超高温で、約1週間ほど焼き上げることで、器が焼き締められ、強度がとても高くなるんです。
なので昔から備前焼は「投げても割れぬ」と言われていたそう。
(投げる勇気はありませんが、私はよくコップを割ってしまうので、「頑丈」って実はとても嬉しいポイントですよね!)
2. 熱しにくくて冷めにくい
備前焼は高温で焼き締められていることもあり、内部の組織もとても緻密。これにより「比熱」が大きくなります。
比熱とは、物質の温度を上昇させるのに必要な熱量のことで、比熱が大きいということは、温度上昇に必要な熱量が大きいということ。
つまり、比熱が大きいということは、温度の上下がしにくい=保温力が強いということ。
備前焼は、温かいもの・冷たいもの、どちらにも相性がいいんです。
3. ビールが美味しくなる
備前焼の表面には超微細な凹凸があるため、飲み物を入れた際の発泡能力がとっても高くなるんです。
それにより、泡がきめ細かくなるだけでなく、泡の寿命が長くなり、香りを逃がさなくなるので、ビールをより美味しく飲むことができます。
ビール好きの弊社のスタッフ(ゲストハウス有鄰庵のこうちゃんと美観堂のかいくん)は、たまに仕事終わりに事務所に置いてあるビールを備前焼のビアマグに注いで、仕事終わりに乾杯して「くぅ〜たまらん〜」と言っています。笑
4. 長時間おくと、お酒が美味しくなる
備前焼の内部には、とても小さな気孔があるため、若干の細かい通気性が生じます。
これにより、日本酒、ウィスキー、ワインといった長期間保存するお酒の香りがまろやかになり、こくのある味に変身するんです。
5. 料理が美味しくなる
備前焼は、他の焼き物に比べて表面の小さい凹凸が多いため、食物が皿肌に密着せず、食べ物の水分の蒸発力が弱くなり乾燥を防いでくれます。
6. 花が長もちする
お酒がおいしくなる仕組みと一緒ですが、備前焼のもつ若干の通気性は、水の状態を長期間保ち、花を長く楽しむことができます。
7. 使うことで、さわり心地が変化する
備前焼の表面の微細な凹凸は、使い込むことによって角が段々と取れていき、使えば使うほど落ちついた味わいに変わっていきます。
以上、いかがでしたでしょうか。
備前焼の実用性にびっくりされた方も多いかと思います。
この備前焼、これまでにあげた写真を見ていただければわかるんですが、その多くが土本来の色をしています。
そんな備前焼の常識をくつがえすのが、本日の『出製陶』さんの作品なんです。
人間国宝の血を継ぐ兄弟作家『出製陶』
『出製陶』さんは、岡山県の備前市伊部で山本周作さん・領作さんのご兄弟が作られる備前焼ブランド。
(※左が兄の周作さん、右が弟の領作さんです)
おふたりの祖父は、備前焼のろくろの名手であった人間国宝、『山本陶秀(やまもととうしゅう)』さん。
その息子であり、ご兄弟の父親である『山本出(やまもといずる)』さんは、ブルゴーニュの土を使い、備前の土に色を付け、備前焼としての表現の幅を広げた方。
『出製陶』というブランド名の「出」はお父さんのお名前から来ています。
代々受け継がれる陶芸の技に、ご兄弟の感性をプラスして、毎日の暮らしに溶け込みながらも、趣を感じさせる「佇まいの美しい焼き物」を目指し、作品をつくられています。
まったく新しい「色とりどり」な備前焼
『出製陶』さんの作品の大きな特徴のひとつは、「色土」を使用していること。
この色土は、備前の土と顔料を練り合わせて作り出されています。
備前の土は鉄分を多く含んでいるため、色を出すのが難しいそうなのですが、試作を重ねることで安定して発色させる方法に辿り着いたそう。
一色ずつ練り合わせることで、繊細な色彩を表現されています。
また、不純物や小石を極力取り除いているため、手触り、口触りがとても良い滑らかな器肌になっているのも特徴。
『出製陶』では、器や花瓶以外にも、かわいい箸置きもあります。
私が心を掴まれた箸置きがこちら↓
優しい色合いで、シンプルながらも目を引く鯛のデザインがとても素敵。
おめでたい席で使いたくなりますね。
『美観堂』では『出製陶』さんの作品ラインナップの中でも最も人気のあるマグカップを始め、ビアカップ、盃(さかずき)、落雁(箸置き)をお取り扱いしています。
使い勝手抜群な5色のマグカップは、入荷後すぐ売り切れることも…!
このマグカップの人気の理由は、やさしくも存在感のある色と、使い勝手の良さ。
普段使いで、コーヒーや紅茶、お茶にジュースなど、温かい・冷たい問わず、さまざまな飲み物にお使いいただけます。
このマグカップはビール専用ではありませんが、ビールを入れていただければきめ細やかな泡立ちを楽しんでいただけますよ。
色は5種類。
左から「ウスベニ」「トルコ」「コガネ」「群青」「備前」をご用意しています。
ちなみに、このマグカップの模様は「緋襷(ひだすき)」という模様。
焼く前の器に藁を巻いて焼くことで、藁と触れている箇所は、緋色になるんです。
お誕生日プレゼントや、ペアギフトに。
もちろん自分用にも、オススメです。
作家さんの手作りのため、1つひとつに個性があります。
ぜひ美観地区に来られた際には、実際に見て・触れて、お気に入りを探してくださいね。
『美観堂』アクセス方法
JR倉敷駅より徒歩約12分。
「たまごかけごはん」で有名な行列のできるカフェ『有鄰庵』のお隣です。
〒710-0054 岡山県倉敷市本町2-15
TEL:086-486-2224
営業時間:11〜18時
定休日:なし
※現在、コロナウイルスの影響で営業を停止しています。
また再開日が決まり次第、お知らせいたします。